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空族の最新作「バンコクナイツ」を見てきた

   

2017年2月25日より全国順次公開している映像制作集団「空族(KUZOKU)」の最新作「バンコクナイツ」を見てきました。

横浜にある映画館シネマ・ジャック&ベティ」にて鑑賞。平日の13:00の上映でしたが、ほぼ満員でした。

この映画館周辺はタイ料理屋やタイ古式マッサージ店が多く、さながら横浜のリトルバンコクような雰囲気もあり「バンコクナイツ」を見る映画館としておすすめです。

空族の作品は「サウダーヂ」を見て以来のファンで、「サウダーヂ」をきっかけに空族の過去作品「国道20号」、「チェンライの娘」、「花物語バビロン」などを見ています。

「バンコクナイツ」の撮影中に行われたクラウドファンディングにも参加をしていました。

「バンコクナイツ」の感想は。。。

思わず笑ってしまう会話、うっとりする景色、ふいに飛び込んでくるパンチライン(印象的な台詞)、スラチャイ・ジャンティマトンとアンカナーン・クンチャイの圧倒的な本物感など、見ごたえがあり面白かったです。

ただ一回見ただけでは咀嚼というか消化しきれない映画だったので、また近いうちに見にいって「バンコクナイツ」の世界に浸りたいと思っています。

「バンコクナイツ」のテーマは「娼婦・楽園・植民地」

https://youtu.be/9VniIDaC0m4

娼婦・楽園・植民地。タイ人娼婦と日本人客。桃源郷を取りもどすための旅がはじまる―。 こちらは、タイ、バンコク。日本人専門の歓楽街“タニヤ通り”。「カラオケ」と呼ばれる、昭和の匂い漂う日本式ホステスクラブがひしめく夜の町。ひな壇にズラリと並ぶタイ人の女たちは毎夜、流暢な日本語で迎えてくれる。ショート2500バーツ、ロング3500バーツ。すべては金次第。娼婦と客、女と男。“タニヤ嬢”ラックと元自衛隊員のオザワ。バンコクから東北地方イサーン、そしてラオスへと至る、ふたりの逃避行を描くロードムービーにして、それを取り巻くタニヤ嬢たちと、バンコクに蠢く怪しい日本人たちの欲望渦巻く群像劇!

引用元:http://www.bangkok-nites.asia/

 

「バンコクナイツ」をより楽しむために

私は映画を見る時は、事前情報を極力入れないで映画を見るという楽しみ方が好きで、「バンコクナイツ」も事前に色々な情報がありましたがそれらの情報を一切見ずに鑑賞しました。

「バンコクナイツ」のテーマである「娼婦・楽園・植民地」は鑑賞後に読んだパンフレットで知りました。映画を見ていた時には理解できなかったシーンも多く、後にパンフレットを読んで理解できたシーンもありました。

「バンコクナイツ」は見る前にある程度情報を入れてから見たほうがいいんじゃないかなと、個人的には思いました。

ですので「バンコクナイツ」を楽しむために、これくらいは知っといてもいいんじゃないかな、ということを紹介したいと思います。
※ネタバレとかではありません。

「バンコクナイツ」の関連のサイト

「空族」の公式ページ
「バンコクナイツ」が初めての空族作品でしたら映像制作集団「空族」のスタイルやスタンスなどを知っておいたほうが楽しめると思います。

「バンコクナイツ」オフィシャルサイト
群像劇なので登場人物が多いです。登場人物は前もって知っていたほうがストーリーに集中できると思います。

「空族」のYoutubeチャンネル
Vol.1~Vol.16まである動画『空族解放宣伝隊「RADIO JUNGLE」』はおすすめです。

「バンコクナイツ」に関わった方々の座談会。劇中に流れる楽曲についてや、イサーンの得度式のシーンの裏話も興味深い。

過去作品「国道20号」、「サウダーヂ」は見ておくとより「バンコクナイツ」が楽しめると思います。3月17日まで上映。「バンコクナイツ」のチケット持参で1500円が1200円に割引されるそうです。

「バンコクナイツ」のパンフレット

読み応え満点のパンフレット。おすすめです!

「バンコクナイツ」のタイ語

タイ語が分かる方が見ると気になる所が何箇所か出てきます。

主人公のチューレン(愛称)は「ラック」

てっきりタイ語で愛を意味するラック(RAK รัก)がチューレンだと思っていましたが、とあるシーンで映る主人公「ラック」のスマートフォン画面、そのスマートフォンには「LUCK」と表示されていたので多分、ラック(รัก)ではなく英語のラック(LUCK)がチューレンなんだと思います。

故郷(ノーンカーイ)での主人公「ラック」のチューレンはイン(หญิง)- タイ語で「女」を意味する。

イサーン方言

タイ東北部で主に話されている方言。劇中、イサーン方言の字幕は「甲州弁」になっています。

主人公ラックはイサーン地方出身の設定ですが、イサーン方言を喋りません。

なぜかというと。。。

「撮影で苦労したことは?」との質問に、ポンコンは「イサーン地方の言葉」と回答し、富田監督は「彼女は英語をしゃべれる設定ですが、実際はからっきし。イサーン出身という設定ですが、バリバリのバンコクっ子。彼女がイサーンに帰っても故郷の言葉をしゃべらないのは、日本語で言うと『てやんでえ』くらいのバンコクっ子だからです」と裏話を披露していた。

引用:富田克也監督10年越し「バンコクナイツ」公開に感慨 「空族」過去作再上映も決定

鑑賞中、主人公のラックは「なんでイサーン方言を喋らないんだろう?」、「なにかの伏線なのか?」と思って見てましたが最後までイサーン方言を喋らず。上記の記事を読むまで、主人公がイサーン方言を喋らないのは何かしらのメッセージなのかと思ってましたが、理由はラックを演じた女優さんがバンコクっ子だったからでした。

ヘンヘンナ

ラックが同僚のホステスたちと交わす会話の中で出てくるタイ語「ヘンヘンナ」。このタイ語は日本語に訳されず字幕では「ヘンヘンナ」とカタカナで表記されている。この「ヘンヘンナ」というタイ語を知らなかったので調べてみました。

「เฮงๆนะ」。多分このタイ語だと思います。「เฮง」は「幸運になる、繁栄する」という意味なので「幸運を祈ってるね」みたいな意味合いなんではないかと推測します。

「เฮง」の由来は潮州語(ภาษาแต้จิ๋ว)の「興」の発音「ヘン」から来ているようです。

チット・プーミサック(จิตร ภูมิศักดิ์)

この映画で初めて知りました。

「バンコクナイツ」のパンフレットにも詳しいプロフィールが記載されています。

劇中にスラチャイ・ジャンティマトンが朗読するチット・プーミサックの詩は「夜の臭気(คาวกลางคืน)」という詩。調べたところ「ジット・プミサク―戦闘的タイ詩人の肖像」という書籍に「夜の臭気(คาวกลางคืน)」の詩が載っているようです。

「バンコクナイツ」はつづく

「バンコクナイツ」の劇中で流れる音楽、最高でした。サントラ盤には「夜の臭気」の朗読も収録されていて、個人的にはこれだけで購入決定です。

「バンコクナイツ」でタイの音楽に興味を持った方におすすめの本です。日本ではめったに出版されないタイ音楽関連本。発売が待ち遠しい!

それと。。。

【vol.15】空族解放宣伝隊「RADIO JUNGLE」の動画で、クラウドファンディングの10万円コースの特典だった「バンコクナイツ」のドキュメンタリー(収録時間10時間)を2時間バージョンとして上映することを語っていたので「バンコクナイツ」のドキュメンタリーの完成も楽しみです。

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